イモータルへの道

その6 イモータルとの出会い その1


 私が高校生の時の話である。

そのころの私は、もっぱら渋谷会館でガントレットをプレイしていた。 といっても、学業も忙しく、2、3ヶ月に1度できるかできないかという状態であった。

 さて、ある土曜日の昼下がりのこと、学校が終わって、 (部活が無い日だったのだろうか?それともすでに引退した頃だったのだろうか・・・?)
私は昼間から50円を持って、さあ今日は一日ガントレットを遊ぶぞぉ! と喜び勇んで渋谷会館に向かった。

足早に階段を3階まで走りあがり、 隅に置いてあるガントレットの筐体を探す、 しかし、そこにはすでに一人の男がプレイをしている姿があった。

その時は、異変に気づかず、どのくらい待てばプレイできるのだろうと思い、何気なく画面を のぞいた。

そして、その画面を見て、私は驚いた。
ヘルス6000?そして、何本ものパーマネントポーションをストックしている?
レベルは40以上、ポーションを持ちきれないほど持っっている・・・。

「なにぃー、何ものだこいつは???」

それまで、自分よりもレベルの高いプレイヤーを今まで見たことが無かった私は、 すぐさま、その男のコンティニュープレイの可能性を疑った。
しかし、その男のプレイスタイルをしばらく見て、 その疑いはすぐに消し飛んだ。 これが噂には聞いていた、本物の「ガントレット・エンドレスプレイヤー」のプレイだと はっきりわかったからである。


その男のプレイスタイルは俗に言う「走り」と「待ち」を完全に持ち合わせたもので、 無駄が全くなかった。
スタート直後にでてくるシーフは彼のショットに吸い込まれるように当たり、 デスのミステリーボーナスでは常に8000点を取る、 必要ない場面でもデスを殺して点数をかせぐ。 敵の大軍に怯まずに突撃していくこともあれば、 少しでも不必要なダメージを喰らうと「ちっ。」と言うほど細心な面も持ち合わせる臨機応変なプレイ。

また、特筆すべきは、彼の持ち物で、200待ちをするときに、ボタンを押しっぱなしにして 点数をかせぐための、おもり件データを取るためのメモ帳。
そして、200待ちのお供、缶コーヒー、さらに暇をつぶすための文庫本 まで用意してあった。

その男は200待ちの度にそのメモ帳になにやら書き込んでデータを取っていた。 おそらく、面数、点数とヘルスを書き込んでいたのだと思う。

それまで、自分では結構うまくなってきて、 一人前のガントレットプレイヤーになったと思っていたのだが、 本物のエンドレスプレイヤーとの実力の違いを知って愕然とするのであった。

そのあと、しばらくその男のプレイを見続けることになった。
私がゲームを見始めたとき、すでにレベルは40を超えていた。 その時のその男がストックしていたパーマネントポーションは、エキストラスピードがあるのに、 エキストラマジックパワーが無いという奇妙な状態であった。

(つまり、エキストラ・スピードを所持しているのに、エキストラ・マジックパワーがないということは、 シーフに盗まれた訳ではなく、(自分のプレイミスではなく) エキストラ・マジックパワーが運が悪く、そのゲーム中にパーマネントポーションとして あらわれなかったことを表す。)

その後も私はその男のプレイを見つめていたが、いっこうに死ぬ気配はない。
まさに不死身のエンドレス・プレイヤー。
神様状態のプレイヤーである。
その男は私が帰ろうと予定していた時間、夜の9時までプレイし、 私はとうとう自分でプレイすることをあきらめ、そして、驚きのうちに帰路へつくのであった。

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